良かった曲

これは何

2023年に聞いた曲の中で良かった作品。だいたい発見した時系列順に並んでいる。そんなものをまとめて何になるんでしょう。何にもなりません。というか書いている途中で力尽きた。

アニソン

すずめ (すずめの戸締まり)

映画館のプレシネでこの曲が流れた瞬間の衝撃は凄かった。新海誠作品の中で一番面白かったと思う。思わずBlu-rayを買ってしまった。

刹那の誓い (トニカクカワイイ2期 OP)

春クールに見ていた作品。ちなみに1期のOPも素晴らしい。

Grorious Moment! (ウマ娘 ROAD TO THE TOP OP)

同じく春クールに放送されていたウマ娘RTTTのOP。GIRL's LEGEND YOU などもそうだけど、ウマ娘の曲はとにかく曲中の工夫が凄まじいですね。あらゆる変化を駆使して飽きさせないようにしている感じ。

メロウ (スキップとローファー OP)

同じく春クールに放送されていたスキップとローファーのOP。春クール豊作だったね。

君にふれて (やがて君になる OP)

安月名莉子のデビュー作。『やがて君になる』は以前から見たいと思っていた作品で、内容が素晴らしすぎて直ぐに原作を探したがどこにも売っていなくて泣いている。

アンサンブル (『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』主題歌)

もう二度と見られないと思っていた京アニが手掛けるユーフォの続編。主題歌が良い。

イルナ エテルロ (魔法使いの嫁 挿入歌)

偶然見つけた曲。魔法遣いの嫁はまだ見たことがないのでいつか履修したい。

空想メソロギヰ (未来日記 OP)

未来日記の OP。12年ぶりに本編を見たらやはりめちゃくちゃ面白かった。

サウンドトラック

地球探索鉄道 花咲線 冬編

JR北海道釧路駅根室駅の区間花咲線の愛称で親しまれており、その付近の様子をまとめたPR動画。道東は地域振興にかなり力を入れている印象があるが、こういう作品も作っているんだなぁと感心させられた。曲の正式名称はわからないが、終盤の壮大なメロディーが心地良い。

星の界

『大正オトメ御伽噺』のサントラより。詳細は前の投稿に詳しく描いたので割愛。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆***** (結城友奈は勇者である OST)

結城友奈は勇者であるシリーズでたびたび流れるサントラ。このタイトルは何?他のサントラも同じような名前がついていて怖い。他のサントラも同じような雰囲気で、全体的にNierを意識して作られている感じがする。

この空と大地の出会う場所(魔法遣いに大切なこと OST

羽毛田丈史作品その1。イントロ後のピアノの旋律が心地よい。本作品はまだアニメ本編を見ていないのでいつか履修したい。

美瑛(映画「魔法遣いに大切なことOST

羽毛田丈史作品その2。フル版はアップロードされていないので視聴版のリンクと、ギターカバーの動画があったのでそちらのリンクも貼った。シンプルなメロディに神が宿るとはこういうことだと思う。ところで魔法遣いに大切なことの実写映画はどこで見られるんでしょう。

クラシック

Ave Maria (Yo-Yo Ma, Kathryn Stott)

ヨーヨー・マのチェロはやはり素晴らしい。1つ1つの音の繋げ方があまりにも綺麗すぎて言葉を失ってしまう感じ。

ブルーグラス

Mansinneedof (Sarah Jorosz)

オシャレだけど滅茶苦茶難しそう。Punch Brothersみたいな雰囲気とPunch Brothersではなさそうな雰囲気が同時に存在している感じがして良い。

Country Clare (New Glass Revival)

はいかっこいい。Bela Freck と Sam Bush が最近この曲をやっているのを偶然発見して音源を探したら普通にアップロードされていた。誰か一緒に弾こう。

Goin' Home Comin' On (Caeley Arrowood)

Caeley Arrowoodというアーティストは初めて知った。こういう女性ボーカルの曲も久々にやりたい感じがする。誰か一緒に弾こうその2。

Me and Paul Revere (Steep Canyon Rangers)

今年組んだセッションで演奏した曲。5年ぐらい前に聞いて以降いつかやってみたいと思っていたので嬉しい。しかしフィドルはかなり難しかった。

Calolina in the Pines (Special Consensus)

良い曲。Lonesom Pineみたいな感じ。今年の北大ブル研の定演でトリのバンドがやっていて良かった。

Midnight Highway (Ashby Frank)

昔一度だけ演奏したことがあるが、久しぶりに聞いたらやはりいい曲だった。当時は練習時間が確保できなかったので、どこかでリベンジしたい。

Medley (Mark O'Connor)

Midnight on the Water と Bonaparte's Retreat のメドレー。CD音源があるのは最近知った。変則チューニングでのMark O'Connorの超絶技巧が光っている。どれだけ練習しても弾けなそう。

Nomad (Mark O'Connor)

同じく Mark O'Connor の曲。1992年発表のアルバム『Heroes』の最後の曲。レコーディング映像が YouTube 上にある。

Wreck of the Edmund Fitzgerald (Punch Brothers)

Punch Brothers が新しくカバーした曲。たまにはこういう感じの曲やりたい。

その他

メタモルフォーゼ (八木海莉)

『Vivy』でディーヴァの歌声を担当していた八木海莉のシングル。一度ライブを見てみたい。

offset (中井敏文)

改訂 P-MODEL の LAYER GREEN とか COLORS を彷彿とさせるような颯爽とした清涼感が良い。

風笛(連続テレビ小説「あすか」)

15年ぐらい前にバイオリンの発表会で演奏して以来、久しぶりに聞いた。楽譜を引っ張り出してきてたまに練習している。

素晴らしき日々へ (連続テレビ小説あぐり」)

こちらは発見したのも今年。長らく連続テレビ小説を見ていないが、こういう曲を聞くと興味がそそられる。

その他2

たくあんのうた

これは何。

なべたべタイム

これは何。近所のすき家に行ったらこの曲が流れていた。

『大正オトメ御伽噺』と『星の界』

『大正オトメ御伽噺』

ある日、YouTubeの自動再生で曲を再生していると琴線に触れる音楽が流れてきた。

www.youtube.com

洗練された音楽というのはこういうものを指すのだと思う。ギターによるバッキングの上を進む琴とバイオリンのシンプルなメロディー。柔らかく暖かな世界観を感じさせる女性コーラス。思わず画面を見やると、それはあるアニメ作品のオリジナルサウンドトラックだった。これが『大正オトメ御伽噺』との出会いである。

YouTube上でサントラが全て公開されていたので早速聞いてみたが、これがとにかく素晴らしかった。

www.youtube.com

www.youtube.com

www.youtube.com

和のテイストを含んだ民族的郷愁を感じさせる曲調が素晴らしい。これは元の作品も面白いに違いないと思い、早速dアニメストアで本作を視聴することにした。

テレビアニメ本編

taisho-otome.com

www.youtube.com

テレビアニメは全12話。一瞬で最終話まで見てしまった。本作ではサントラから想定していた民族的・宗教的な要素は特になく、コミカルとシリアスが入り混じったような展開が続く。また、シリアスな場面でも話が重くなりすぎないようにする配慮が感じられた。強烈なカットや演出を用いないところも、本作の世界観を大事にしていることが伺える。あと珠子が可愛い。

taisho-otome.com

本作の主題は主人公の珠彦とヒロインの夕月(ユヅ)の恋物語で、厭世家の珠彦が天真爛漫なユヅに揺り回されつつ距離を縮めていく様子が描かれる。作中では珠彦がユヅを「春の嵐」に例えていたが、これは面白い比喩表現だと思う。明るい人、元気な人、はつらつとした人といった言葉はよく使われるフレーズだが、そういった表現を全て詰め込んだようなこの言葉は作中でも多用され、印象的なキーワードだった。ユヅのように自然と人を惹き付け、その心を変えていく力を持つ主人公やヒロインは他の作品でもよく見かけるようになった。例えば『明日ちゃんのセーラー服』の明日小路や『スキップとローファー』の岩倉美津未は、そういった力を持つ人物として描かれているように思う。これらの作品はいずれも連載が続いているが、大正オトメ御伽噺の原作である大正処女御伽噺は既に全5巻で完結している。アニメ版で描かれた珠彦とユヅの物語の先に何があるか気になり、原作が読みたくなった。

買ってきた。昭和オトメ御伽噺は大正処女御伽噺の続編、厭世家の食卓はグルメに特化した公式スピンオフである。どの作品も大変面白かった。

そして原作者である桐岡さな先生の絵が上手い。五等分の花嫁の作者の春場ねぎ先生などもそうだけど、あらゆるジャンルを描けるタイプの漫画家なんだと思う。

なんとなく再生した1本の YouTube の動画からここまでハマるとは思わなかったけど、この作品を知ることができて良かったと感じることができた。

『星の界』

ところで、冒頭でリンクを貼った『星の界(よ)』という曲は、一般的には明治43年(1910年)に文部省唱歌として『教科統合中學唱歌 第二巻』に掲載された曲を指す。

www.youtube.com

この曲の原点は、ジョセフ・スクライヴィンが残した『What a friend we have in Jesus』という詩に、チャールズ・コンヴァースが『Erie』という曲のメロディーをつけたものである。

www.youtube.com

この曲のメロディーを流用しつつ杉谷代水が日本語の歌詞を乗せたものが『星の界』である。そのため、大正オトメ御伽噺の『星の界』は、文科省唱歌の『星の界』をリスペクトした作品ということになる。

珠彦の誕生日が明治38年、ユヅの誕生日が明治41年なので、彼らが尋常小学校に通っていた頃には既に世間で知られた歌になっていたのだと思う。作中でもユヅがこの曲を珠彦に歌い聞かせる場面があった。

また、サントラの中にも『星の界』のメロディー(というかチャールズ・コンヴァースの作曲)を流用しているものがある。

www.youtube.com

www.youtube.com

こういった曲を日常生活で聞く機会は少ないが、たまに耳にすると小学校の音楽の授業を思い出す。例えば滝廉太郎の『荒城の月』は何度も教科書に登場していた覚えがある。荒城の月は明治33年(1900年)に作曲されているので、『星の界』より少し前に出た作品である。『星の界』は既に音楽の教科書には載っていないと思われるが、同じコンヴァースのメロディーに杉谷代水ではなく川路柳虹が歌詞を当てた『星の世界』は今でも音楽の教科書に載っている。『星の世界』の作詞時期は定かでないが、昭和27年(1952年)には音楽の教科書に載っていたらしいので、70年以上親しまれてきた曲ということになる。明治時代に庶民が聞いていたメロディーが今も受け継がれ人々に届けられていると思うと感慨深い。この曲はコード進行も単純なので、ギターで弾き語りして子守唄にすると楽しそうだと思う。

参考情報

[1] 教科統合中學唱歌 第二巻
[2] 星の界
[3] 星の界(エリー,いつくしみふかき)
[4] 教科書掲載曲一覧 令和2年度版小学生の音楽
[5] レファレンス協同データベース

『宇宙よりも遠い場所』の聖地巡礼

先日、シンガポールに行く機会があった。シンガポールと言えばマーライオンである。しかし、個人的には『宇宙よりも遠い場所』の聖地というイメージも強い。

yorimoi.com

通称『よりもい』は、女子高生が南極に行くという斬新なテーマを1クールで見事に描き切った名作である。南極で命を落とした母親を追い、主人公が仲間を巻き込みながら南極を目指し成長していく姿は必見だ。

そんな主人公たちは、砕氷船『しらせ』がモデルのペンギン饅頭号に乗って昭和基地へ向かう。しらせは例年 11 月に東京を出港した後、オーストラリアのフリーマントルに寄港。そこで南極観測隊員を乗せ、昭和基地へと赴く。これに倣って主人公たちもフリーマントルからペンギン饅頭号に乗るわけだが、オーストラリアに行く際にシンガポールを経由しているのだ。せっかくシンガポールに行くなら、よりもいの聖地巡りをしておきたい。行きと帰りでトランジットの時間は 6 時間と 7 時間半しかなかったが、それでも最低限は見て回れるはずだ。

そんなわけで羽田空港からチャンギ空港へ飛ぶ。所要時間は約 6 時間で、途中で機内食が出た。

上手く撮れていなかった。帰りの機内食の写真をば。

食事が運ばれてきたときは「これだけで足りるか?」と思ったが、食べてみると意外にも満腹になった。機内では基本的に座っているだけなので、空腹感もあまり感じない。それを考えると、キマリたちに提供された機内食はなかなかの量だと思う。

チャンギ空港に到着。機外に出た瞬間に思わず顔が引きつった。おそろしく蒸し暑い風が身体の周りを吹き抜けていく。北海道の 10 ℃ 台前半の環境に適用していた体に 30 ℃ の熱風は攻撃力が高い。そして何よりも湿度が凄まじく、夏の東京の雨上がりのような気候だった。

入国審査は自動化されており、パスポートの読み取りと顔写真の撮影、指紋の記録を行う。近くに警備員が立っており、操作に手間取っている人に話しかけていた。僕も話しかけられたが、訛りが強すぎて英語だと認識できなかった。

チャンギ空港は中心地から少し離れているので、市内を観光するならタクシーや MRT(鉄道)で移動する必要がある。MRT を利用する場合、Changi Airport 駅から Tanah Merah 駅へ移動して下車し、向かいのホームから出る電車に乗り換える。そのまま Raffles Place 駅まで行けばマーライオン公園の近くに出られる。所要時間は 40 分ぐらいで料金は 2.5 シンガポールドル。安い!

Raffles Place 駅に着いた。ドアの前に立つとホームから蒸し暑い熱気が流れ込んでくる。冷房が効いた車内との気温差で風邪をひきそうだ。

地上に出ると巨大な高層ビル群に囲まれた。いかにも都会といった雰囲気。案内板が無かったので Google マップを頼りにマーライオン公園へと向かう。時刻は朝の 7 時で、ようやく日が昇ってきたところだった。

早速マーライオンの実績を解除した。朝早くなので人通りは落ち着いていたものの、観光客の姿はちらほらみかけた。それにしても、マーライオンは水を吹いているんじゃなかったっけ?

と思っていたら水を吹き始めた。

奥にはマリーナベイ・サンズがある。朝の陽光に照らされたホテルはどこか神聖な雰囲気を醸し出していた。何度見返してもとんでもない構造をしており、よくこんなの作ったなと思う。よりもいを見たときにも「なんだこの建物は」と思ったけれど、それを実際に見られたのはなかなか嬉しい。

そんなマリーナベイ・サンズの下にはショッピングモールのようなところがある。

キマリや報瀬がドリアンアイスを食べていた場所だ。

夜にはライトアップも行われる。ここを訪れたのは 20 時だったので大変盛況していた。

そして、マリーナベイ・サンズの奥にはガーデンズ・バイ・ザ・ベイと呼ばれる巨大な植物園がある。よりもいには登場しなかったが、ここも有名な観光スポットらしい。

かなり広い植物園で、とても全部は周りきれなった。

そしてとにかく夜景が凄かった。雲模様も相まり、その光景は圧巻の一言。

先ほどの夜景は、この木のような人工物『スーパーツリーグローブ』の上から眺めたもの。麓ではゆったりとした音楽と共に美しいライトアップが行われており、人々が地面に座り込んでその様子を眺めていた。祭りで花火を見る人々の姿にそっくりだった。ライトアップの時間はあらかじめ決まっているぽいので、事前に調べていくと良さそう。

植物園の内部に入ったりスーパーツリーグローブを登るためにはチケットの購入が必要だが、この麓の空間には無料で入れる。中心地のすぐ近くでこのような体験ができるのは良い環境だと思った。

最後はグルメである。

シンガポールのグルメはよくわからないが、自分はホーカーと呼ばれる屋台街に行った。ホーカーはフードコートのような場所で、様々な飲食店があちこちに立ち並び、所狭しと机や椅子が置かれた空間である。有名なのは Lau Pa Sat(ラオパサ)とマクスウェル・フードセンターらしく、特にキマリたちが終盤で食事をしていたのは後者だと思われる。

屋根や机の様子が一致。この付近を散策したのは朝 9 時前で、屋台は閑散としていた。それでも地元民と思われる人々が食事をしており、中華料理を食べていた。

Lau Pa Sat は夜の21時頃に訪れたので大変混雑していた。現金しか使えないと聞いていたが、いざ現金で代金を払おうとしたらカードしか使えないと言われる。帰国前にシンガポールドルを消費しておく必要があったので困っていたところ、見知らぬ現地の人がシンガポールドルを受け取る代わりにカードで代金を支払ってくれた。そしてお礼を言う前にどこかに消えてしまった。

Lau Pa Sat では 5 シンガポールドル前後で食べられる料理が多く、物価が高いシンガポールにおいては地元民にも人気のホーカーらしい。中には 20~30 シンガポールドルする一品料理もあるが、それでも良心的な値段設定だと思う。

そんなこんなをしているうちに時間はあっという間に過ぎ去り、帰国のためチャンギ空港へと戻ることになった。

自分はそれほど聖地巡りに熱心なわけではないので、アニメのカットに合わせた位置や角度を探したりはしなかった。それでも、主人公たちがどんな旅路を歩んでいたかを実際に体験できて楽しい時間を過ごせた。また、よりもいを見ていなければショッピングモール前でのライトアップやホーカー街の存在を知らずにシンガポールを後にしていたに違いない。またいつか観光に来られるといいと思う。

Raspberry Pi と HDD で NAS を構築したいだけなのに

初めに

何かサーバーを作ってみたいなぁという気分になったので、とりあえず Raspberry Pi(ラズパイ)と HDD を使って NASRAID 0)を構築することにした。しかし、何も知識が無かったので人々の備忘録を調べるだけで随分な時間を溶かした。とりあえず参照した記事だけ簡単にメモ。他人の記事に頼みて文章を書かざること山の如し。

やりたいこと

ラズパイをセットアップし、HDD と繋げて NAS を構築する。

用意したもの

初心者なのでラズパイは諸々のパーツがセットになっているものを購入。半導体不足の影響で値段が跳ね上がっており、なんと 28300 円。もはや NAS の既製品を買った方が安い。HDD はとりあえず 1 台だけ。USB で給電するタイプの HDD だとラズパイ側の電力が不足する可能性があると目にしたので、念のため外部電源タイプの HDD にした。カードリーダーは手元に余りが無かったので購入した。

その他必要なもの

  • ディスプレイ
  • マウスとキーボード

最初は GUI でラズパイの設定を行うので、ラズパイから HDMI 接続できるディスプレイが必要。マウスとキーボードも用意する。

やったこと

1. ラズパイの組み立て

不親切な説明書通りにやる。ヒートシンクをつけて

下のケースをつけ

真ん中のケースをつけ

上のケースには冷却ファンを取り付けて

ファンの端子を差し込みつつ、ケースを閉じる。

ケースが固すぎる。

2. MicroSD カードのフォーマットと OS のインストール

続いて、ラズパイで使用する OS を MicroSD カードにインストールする。今回購入したキットに付属している MicroSD カードには既に OS がプリインストールされているので、そのままラズパイに差し込んで使うこともできる。しかし、念のため自分で OS をインストールし直しておくことにした。

以下の動画を参考に Raspberry Pi Imager をいうソフトウェアを使って OS をインストールする。

この動画では OS の種類と書き込み先の MicroSD カードを指定した後、そのまま MicroSD カードに OS の書き込みを開始している。しかし、個人的にはその前に SSH 接続や Wi-Fi の設定も済ませておいた方が楽な気がする。まずは右下の歯車のマークをクリック。

ラズパイのホスト名やユーザー名、パスワードの設定が行える。また、SSH 接続の方法や Wi-Fi の設定も可能。後述するように OS のインストールをやり直すこともあるので、カスタマイズオプションは「いつも使う設定にする」を指定した方が便利。

なお、SSH 接続については以下の記事が参考になった。

3. ラズパイの起動準備

Micro SD カードをラズパイに差し込み、電源ケーブル、Micro HDMI ケーブル、マウス、キーボードを接続する。電源ケーブルのスイッチを ON にすればラズパイが起動する。

4. ラズパイの起動確認

正常に起動すれば、ディスプレイに GUI が出力される。

OS インストール時に Wi-Fi の設定を行っていれば、この時点で Wi-Fi に繋がっているのでインターネットも利用可能。

一方、スイッチを ON にしても画面が真っ暗のままのこともあった。原因として考えられるのは、スイッチを ON にした後、デスクトップが立ち上がる前にスイッチを OFF にする行為を繰り返していたこと(冷却ファンが回らなかったので調整していた)。この場合、OS に問題が生じてラズパイが正常に起動しなくなることがある模様。以下の記事のように OS のインストールからやり直したら上手く起動できた。

また、ラズパイを正常に起動できたものの、reboot(再起動)すると画面が真っ暗のままになることもあった。原因はよくわからないが、接続先のディスプレイを古い型のものから新しい型のものにしたら治った。このあたりは自分で色々調べて解決方法を見つけるしかなさそう。

5. SSH 接続と VNC 接続

さて、ここからラズパイのセットアップを進めていく。しかし、その前に SSH 接続と VNC 接続の設定を行い、ラズパイを他の PC から遠隔操作できるようにしておくと楽ができる。SSH 接続に関しては OS インストール時に設定を済ませているとする。VNC 接続の設定に関しては、以下の記事の冒頭が参考になった。

この記事ではラズパイへ SSH 接続するために PC に Tera Term というソフトウェアをインストールしているが、 MobaXTerm などで代替しても OK。

6. その他設定

NAS を構築する前にいくつか設定を変更しておいた。以下の操作は全て他の PC からラズパイに VNC 接続して行えるので、ディスプレイやマウス、キーボードをラズパイから取り外しても良い。

言語設定

まず言語設定を変更しておいた。初期設定のラズパイでは言語が英語になっている。日本語に変更したい場合は以下の記事を参考にラズパイ側の設定を変更する。

また、日本語入力にも対応させたかったので、以下の記事の「初期セットアップ」の項目を参考にした。

IP アドレス

初期設定では、ラズパイの IP アドレスが DHCP によって動的に割り当てられる。この場合、ラズパイの Wi-Fi を切断したりルーターを再起動すると IP アドレスが変更されるため、SSH 接続も新しい IP アドレスで行うことになる。しかし、逐一 IP アドレスを確認し直すのは面倒なので、IP アドレスを固定(静的割り当て)するようにラズパイの設定を変更しておくと良い。以下の記事が大変参考になった。

CUI より GUI で設定した方が楽。

しかし、固定 IP にした途端に外部のネットワークにあるサーバーに SSH 接続できなくなった。同じネットワーク内の PC とは問題なく SSH 接続できたので、LAN から出られなくなっている模様。調べてみると、以下の記事がヒットした。

なるほどと思ってラズパイの /etc/dhcpcd.conf を確認してみた。

static ip_address にはなっているが、static routers が何も指定されていない。これだとルーターがわからないので LAN 外のネットワークにも接続できない。何故 static routers に何も書かれていないのかよくわからないが、とりあえず DNS サーバーの IP アドレスをコピペする。

OK。保存してから reboot したところ、無事にインターネットに繋がった。

root ユーザーのパスワード設定

初期設定では、root ユーザーにパスワードが設定されていないが、これはセキュリティ的に不安がある。root ユーザーにはパスワードを設定しておくと良い。

ランプの設定

ラズパイはシャットダウンしてもランプや冷却ファンが光り続けるので、本当にシャットダウンできているのか不安な時がある。以下の記事の「ラズパイをシャットダウン操作して電源が切れたかを簡単に確認する方法」のように config.txt を編集すれば、緑のランプが点滅しているか否かでシャットダウンできたか判断できる。

ユーザーの追加

いきなりユーザーを追加したい場面は少ないと思うけど、けっこう簡単にできる。

ソフトウェアの更新の確認とインストールは定期的にやった方が良さそう。

vim のインストール

個人的にはファイルを vim で編集したかったので、以下の記事に従ってインストールした。

6. HDD のマウント

HDD をラズパイにマウントして NAS を構築する。HDD は初めにフォーマットしておいた方が良い。その後は以下の記事を参考に進めた。

完成図は

こんな感じ。

7. NAS が構築できたか確認

ラズパイを reboot してから、mnt に HDD が存在していることを確認する。HDD があれば無事に NAS を構築できたということになる。

まとめ

疲れた。人の記事を貼り付けてばかりだが、これを自分で書く気力はない。

『ぼっち・ざ・ろっく!』のライブシーンを見て衝撃を受けた話

『ぼっち・ざ・ろっく!』の5話と8話、12話を見て、その圧巻のライブシーンにとんでもない衝撃を受けたので、その感想を少し書いておきたいなと。とはいえ、『ここが尊い』『あのシーンは震えた』みたいなことを書いてもまあ……という感じなので、あくまでメモ程度。スクショを貼るのは著作権がどうかするかもだが。。

ギターの描写

まず驚いたのがギターの描写。

低音弦がちゃんと太く描かれている!!

めちゃくちゃ動くシーンでも、ギターがアップのシーンでは低音弦が太くなっているカットがいくつか。これやばくないですか?主人公やヒロインがギターを弾くアニメは数多く存在するけれど、弦が描き分けられている作品はかなり珍しい。自分も弦楽器を弾く人間なので、こういう描写を見ると思わず口角が上がってしまう。

ちなみに、描き分けされていないカットもたくさんある。原画で弦の太さまで統一するのは難しいのかもしれない。でも、弦が光を反射している様子を描いているだけでもかなり変態なことをしていると思う。あと、全然関係ないけど右手のスピード感が凄い。思わずターボ歩美が脳裏に浮かんだ。

同じく弦の話で、『あのバンド』の前にぼっちちゃんが突然ギターをジャラーンと鳴らすシーンも良かった。

ストローク前は全ての弦が同じ太さで描かれている(少し離れるとギターの弦は全部同じに見えるよね)。一方、ストローク後には1-4弦が少し太く描かれている。弦が弾かれて振動している様子を再現している模様。5・6弦が太く描かれていない理由はよくわからないが、高音弦の方を強めに弾いたということなのかな?ほんのちょっとしたことだけれど、突き詰められて作られていると感じる。

ギターというより弦の話になってしまったけど、何度見てもライブシーンの楽器の描写は目を見張るものがある。

キャラクターの動き

そして、楽器の描写以上にキャラクターの動きがとんでもないことになっている。

短い動作のループや同じ映像の使いまわしを極力避け、手書きで全員を同時に動かし続ける作画。どれだけのコストがかかっているのか想像もつかない。

コードを抑えたりフレーズをなぞったりと左手はせわしなく指板の上を動き回る。ぼっちちゃんのキレのある右腕のストロークも、手首の動きが非常に滑らかで良い。その一方で、まだ初心者の喜多は手首が固く腕全体を使った弾き方をしている。こういう描き分けが明確にされているのもかなり珍しい。

上の画像のように特定のキャラクターに焦点を当てていないカットでも、動きに全く違和感がない。モーションキャプチャで集めた素材があるとはいえ、手書きでここまで安定した演奏シーンを描写できる時代なのか……という感じ。ハルヒの God knows や『Angel Beat!』のガルデモのライブシーンなども凄まじかったが、それらを凌駕する衝撃を受けた。

ところで、こういうシーンを見ると左手の運指は合っているのかな~と気になってしまう。ほとんどのアニメ作品では、演奏シーンで音と指の動きが合っていない。なんなら左手はずっと固定されていることもある。作画コストを鑑みればそれは仕方ない。でもぼざろなら合っているかも。。

……合ってそう。たぶん。

CloverWorks が昨年制作していた『明日ちゃんのセーラー服』の最終話で、江利花がバイオリンを弾くシーンも運指と音が合っていたなぁと思い出す。こんな映像をテレビアニメで視聴できる時代に生きていて良かった。いや本当に。

印象的なカット

第5話

ギターヘッドから奏者を見上げたワンカット。天才的カメラ位置。ツイッターでけっこう話題になっていたシーンだが、これを見た瞬間思ったことがある。

 

「平沢じゃん」

 

第9曼荼羅のダイジェスト映像から画像を拝借。なかなかの再現率。平沢進はギターヘッドに小型のカメラをつけてこの映像を撮影していたけど、ぼざろのカットもそういうイメージで作成されたのかもしれない。知らんけど。

第8話

そして8話。5話を見て「ギターから演奏者を見上げたアングルを出すなら、演奏者からギターを見下ろしたところも見たくない?」と思っていた矢先。

これもう CloverWorks 俺のこと好きだろ。解釈一致すぎてリアタイしているときちょっと笑ってしまった。

そしてエンディング。

ウマ娘』2期1話以来の楽曲+黒背景+タイトル演出。そしてタイトル回収。これが最終話だと言われても普通に信じる。

ところで、エンディング直前の虹夏のセリフがとても良かった。ちょっと引用してみます。

でも私確信したんだ!ぼっちちゃんがいたら夢を叶えられるって!

だからこれからもたくさん見せてね。

ぼっちちゃんのロック!ぼっちざろっくを!

冒頭の宣言に反してオタク特有の早口(ですます口調)をするのですが、このセリフ選びはグッときました。

「あなたの音楽を見せてね」という言葉は演奏者にとって最高の賛辞だと思うんです。「上手い!」と言われるのももちろん嬉しいことですが、それは日々の努力の帰結であって、鍛錬の成果が認められたということに過ぎません。『演奏が上手い=その人の音楽が好き』というわけでもないはずです。

でも、虹夏は「後藤ひとりの音楽をこれからもたくさん私に見せてね」と伝えて去っていく。それを聞いたぼっちの顔にゆっくりと光源が差し込み、「はい!」と嬉しそうに答える。この演出は本当に素晴らしいですね。後藤ひとりが進もうとしている道に虹夏が光を照らしてくれたんだなと感じました。

1話では、ぼっちの奇行に「(演奏を)頼む相手間違えたか?」と虹夏が困惑するシーンがあります。そんなぼっちの繰り出した全力の演奏が、「この人と一緒にいると何でもできちゃいそうだな / なんか凄いこと起こせそうだな」と虹夏に感じさせるという対比。そして、そんな思いを人に抱かせることができる後藤ひとりの実力。そこから特殊 ED のタイトル回収が来るのはずるいよね。

その他

ライブシーンに限った話ではないけど、特徴的だなと思ったのが背景。

これどうやって作ってるんでしょう。徹底的にロケハンした素材が元になっているのはわかるが、手書きと 3DCG と実写ぽい背景が混ざっており、どうなっているのかよくわからない。

これは普通に手書きに見えるけど

これは CG ぽいし

ところどころリアルすぎて実写の加工と見分けがつかない。というか実写の加工なのかもしれない。『響け!ユーフォニアム!』なども同様の背景を採用していたが、ぼざろの方がよりリアルな雰囲気。どうなっているのか誰か教えてください。

最終話

そして12月25日午前0時。最終話放送。

今まで最低30秒はあった Web 予告がわずか12秒。映像どころか BGM さえ使われていない。攻めてますね~。

アバンも OP もなく、『ふわふわ時間』を彷彿とさせる勢いのある演奏が開始される。5話や8話で演奏していた曲より大衆的な雰囲気。学園祭だものね。

冒頭の手拍子。これが手書きという事実に震える。

ライブシーンも安定のクオリティ。ぼっちが俯きながらも笑顔で演奏しているのが良い。

喜多は可愛い。なんというか、ぼっちと喜多が楽しそうに演奏しているというだけでこみ上げてくるものがある。

モブがライブを見ようと体育館へと駆けつけるシーン。『坂道のアポロン』の文化祭セッションのシーンが脳裏によぎる。結束バンドの皆が青春しているのは間違いないけど、聴衆もまた青春している側の人間なんだよね。

ラスサビに入ると、しばらく校舎の様子が映されるカットが続く。今まで当たり前のように映されてきた場所が走馬灯のように駆け巡っていき、最終回なんだなぁと思い知らされる。

そして、ギターのネックを見つめていた喜多が一瞬だけぼっちに視線を向ける。あまりにも繊細な演出すぎませんか?

こんな演奏を見せられたら、聞いている側もこんな顔になるよね。ところでこの茶髪のヒロイン、ユーフォの黄前久美子に見える。

そして2曲目。喜多の上達具合が凄まじい。ストロークが格段に滑らかになり、表情も豊か。何より、5話ではぼっちの覚醒に気づく余裕さえなかった喜多が、8話でぼっちの演奏能力の高さを認識し、12話ではアドリブでぼっちをサポートするまでに成長したというのも素敵。裏でどれだけ練習したんだろう。

そして、喜多のアドリブでのバッキングから続くぼっちちゃんのギターソロ。土壇場でこれを思いついてやりのけてしまう天才ギタリスト。ライブで起きるトラブルを、それを二度はできないような方法で乗り切るのはアツい。

そうこうしているうちに最終話はあっという間に終わってしまった。なんか結局感想を書くだけみたいになっちゃったけどヨシ。

そんなこんなまとめ

後藤ひとりがかっこいい。滅茶苦茶かっこいい。

1話から面白いなとは思っていたけど、それはどちらかというとギャグ路線の話で、『けいおん!』に近いイメージで見ていた。それが5話でいきなり平手打ちされ、8話で往復ビンタされたような感覚だった。随所にわたる丁寧な表現と描写に制作陣の本気が垣間見えるのはもちろんだが、まさかこんな凄い映像を見ることになるとは思ってもみなかった。

それも単純に「作画がすごい!」ということではなく、原作の4コマ漫画から最大限に話を引きだす構成、一瞬で印象に残す斬新な演出、そして音響の細部に至るまでもが精巧に作りこまれているところが大きい。テレビアニメでここまで徹底的にこだわり抜いた作品が見られるのはとても幸せなことだと思う。

今期は他にも素敵な作品がたくさんあり、帰宅後の楽しみが多いクールだった。それでも、ぼっち・ざ・ろっく!が放送される日曜日の深夜0時が一番の楽しみだった。どれだけ時間がかかっても、是非2期を制作して欲しい。そして、そのために私たちができることはコンテンツにお金を出すことなので

とりあえず原作と結束バンドの CD を買った。

あと、全然関係ないけど、結束バンドがフジロックに出演している二次創作はないかと探したけどなかった。White Stage のトリとかで出ていて欲しい。そしてぼっちちゃんには客席など一瞥もせず延々とえげつないフレーズを弾いていて欲しい。

それでは。

2022年6月と7月体験記

人生で初めて2022年6月および7月を体験したので、その参加記を書きました。

2022年6月と7月に参加した感想

無い。

どうでもいいことだけど、ここ最近全く更新していなかったので、長々と怪文書を書いて文字数の帳尻を合わせる作戦に出ることにした。

主な出来事

残雪

少なくとも今年の5月22日までは中央ローンに雪が残っていた。最後に雪が降ってから優に2ヶ月は経過している。この時期まで構内に雪が残っているのは初めて見た。

謎の自転車

意味が不明。この状態で数日間放置されていた。

学祭

天気が良くて良かったね。

アイス

神の食べ物。

五等分の花嫁

6月に中旬辺りに劇場版『五等分の花嫁』が公開されているのをツイッターで知った。

名前を聞くことはよくあったけど、そういえば見たことがない。というわけで、早速dアニメストアでテレビアニメ版の1期と2期を見るところから始めた。

一気見するのはもったいない気がしたのでのんびり見進めたけれど、それでもあっという間に見終わった。とても面白くて、もっと早く見ておけば良かったなぁという感じ。

2期で制作会社が変わってキャラデザも若干変わっていたけれど、こちらの方が原作よりの絵柄で綺麗。また、作画が恐ろしく安定していて、ヒロインの可愛さを全力で表現しようとしているのが感じられた。

あと、OPがセリフから始まるのはなかなか珍しい。

これで劇場版を見に行く準備が整った。

北海道では札幌と旭川の映画館でしか上映されていないらしい。都会最高すぎるだろ!

さて、映画館に入り早速発券機の元へ向かう。しかしその手前で若い男性に話しかけられた。

誤解を恐れずに言うと、街中で平然と話しかけてくる人間はほとんどが宗教観誘か異常者である。まともな人間は安易に見ず知らずの人に話しかけたりしないからだ。しかし、映画館の中で宗教勧誘する輩がいるとも考えにくい。何だろう?と思って立ち止まってしまった。これが命取りとなり、完全に相手のペースとなる。

「突然すみません、電動歯ブラシを配ってるんですけど要りますか?」

「え?」

しかも第一声が意味不明だったため、思わず聞き返してしまった。電動歯ブラシ

「今、この映画館に来た人に無料で電動歯ブラシを配っていまして……電動歯ブラシを使ったことはありますか?」

「いや……」

「なるほど~実は今回、私たちは新しい電動歯ブラシ用のブラシを業界最安値で売り初めまして、その宣伝として本体を無料で配っているんです」

「……???」

「しかも1本目のブラシは無料で差し上げていて、2本目以降もお客様の家に直接配達することができます。値段は○○円で従来の××円より安くて~」

脳が混乱している間に向こうはどんどん話を進めてくる。街中でポケットティッシュを配っている人さながらに電動歯ブラシをくれるのかと思ったが、とんだ期待外れだ。

そして数分が経過した。

相手の饒舌ぶりは一向に留まる気配を見せない。何を言っているのかもわからない。このあたりで「あ、これ長くなるやつだ」という直感的な悟りを得る。電動歯ブラシをくれるのかどうか知らないが、2本目以降のブラシを家に配達するということは、この後に名前や住所を書かされるフェーズが控えている可能性がある。しかしそんなことをやっている暇はない。最優先事項は一刻も早く発券して良い席を確保することだ。

「――どうですか?今の話を聞いて電動歯ブラシを使いたいと思いましたか?」

「いいえ」

「そうですか。使いたいと言った人にしか配らないことにしているので、今回はダメですね」

「?笑」

という心の温まるやり取りを終えて発券機に向かった。もっと別の場所で配るべきだろ。

話が逸れたが、映画本編はとても良かった。ストーリーはもちろん、作画や演出、楽曲に至るまで丁寧に作りこまれていた。個人的には、ここぞというシーンで細く繊細な線で描かれたカットが入っていたのが印象的で、劇場版ならではのクオリティという感じ。男性主人公に対して女性ヒロイン5人というのは典型的な男性向けラブコメの構図だけど、観客の男女比はあまり偏りが無かったので少し驚いた。

そんなこんなで「また見に来たいなぁ」と思いつつ帰途についた次の日、公式から新しい特典の情報が発表されていた。

どうせ見に行くのなら特典も欲しい、ということで24日の午後の上映を予約した。金曜日なので普通に平日だが、たまには休んでもいいだろう。大学には行かんでええ。

特典の影響だと思うけれど、平日の昼だというのに席は8割ぐらい埋まっていた。集客力がやばい。

1回目よりは淡々とした気持ちで見られたものの、最後の方はやはり感動した。そして、鉄は熱いうちに打てということで帰りに原作を買いに行った。

ふひひ。フルカラー版もあったけれど、とりあえずモノクロで読みたかったので通常版を購入した。

一周目は丁寧に読み進めたかったのでのんびりページを繰る。1冊読み終えるのに1時間は溶けてしまうけれど、幸い明日からは土日である。何も問題はない。。

そして日曜日が終わった。この文章は、日を跨いで月曜日の午前3:00に書いている。大変不思議なことに、まだ12巻までしか読み終わっていない。意味が不明。

最近足が遠のいているが、コミケもこんな感じだったなぁと思う。常軌を逸する量の本を買い込み、何時間も電車に揺られ、何時間も自転車をこぎ、ようやく帰宅して本を読み進め、それでも半分も読み終わらずに眠気に襲われて、明日も休みで良かったなぁと思いつつ気絶する……みたいな。まあ明日は平日なのですが。

そして月曜日が終わった。この文章は、日を跨いで火曜日の午前4:00に書いている。ようやく最終巻まで読み終えることができた。

これが私の人生、他の誰でもない。

自作PC

今日は2022年7月2日。以前からデスクトップを組みたいと思っていたので実際にやってみた。CPUの購入は3月に済ませていたものの、残りのパーツは下調べをしたりしなかったりしているうちに時間だけが無為に過ぎ、全てが揃ったのは6月末だった。

自作PCは簡単」とよく聞くけど、初心者にはそこそこ障壁がある気がする。まず、何が必要かわからないし、わかったところで良し悪しも相性もわからない。自分はハードウェアの知識が一切なかったので苦労した。

何はともあれ必要なものが揃った。早速組んでみる。まずはマザーボードを用意。

慎重にCPUを取り付ける。

続いて、CPUに熱伝導グリスを塗る。リップクリームみたいな触り心地を想定していたが、実際は粘土のような感触で非常に扱いづらかった。高級なグリスだとまた違うのかもしれない。全然上手く塗れず、グリスを塗り直す→ヒートシンクを取り付けるという作業を5回ぐらい繰り返した。

ヒートシンクに空冷用のファンを取り付ける。

CPU周りはこれでOK。次はメモリを差し込む。けっこう力を込めないと奥まで刺さらない。しかも、先ほど取り付けたファンが邪魔すぎる。手順を逆にするべきだった。

CPUクーラーの横にSSDも差し込んておく。

これでマザーボードへの部品の取り付けは完了。かっこいい。

ここで正常に動くかテストしておく。まずはマザーボードに電源ユニットを接続。

ケーブルの種類がわからず1時間ぐらい悩んだ。続いて、ケースの電源ボタンとマザーボードを繋いておく。ディスプレイからはHDMIケーブルを伸ばし、マザーボードに差し込む。

ケースの電源ボタンを押したところ、ちゃんと動いてディスプレイにBIOSの画面が表示された。ヨシ!

あとはケースにマザーボードと電源ユニットを取り付けるだけ。と思いきや何故かネジが足りず、他のネジで適当に代用した。ケーブルをいい感じにまとめ、GPUも差し込んでおく。

OK。既に作業を始めてから8時間ぐらい経過している。もう疲れたのでセットアップやWindowsのインストールなどはまた後日。慣れれば簡単なんだろうけど、初心者にはなかなか険しい作業だった。。

――そして半月が経過した。今日は2022年7月19日。

重い腰を上げて注文したWindows11が届いた。Windows10を購入しても良かったが、Windows11の方が安かったのでこっちにした。中にはWindows11インストール用のUSBとプロダクトキーが入っている。

しかし、調べてみると、付属のUSBは使わずに自分のUSBでインストールメディアを作成している人が多かった。付属のUSBを使うとWindows11のクリーンインストール後に大規模なアップデートが適用されて面倒なので、それならアップデート済みのWindows11のインストールメディアをダウンロードしてきてUSBに入れておいた方が早い、という理由らしい。わざわざ自分で新品のUSBを用意するのも面倒では……?

用意してしまった。長いものに巻かれる人生。

しかし、「少なくとも8GB必要」とのことだったので8GBのUSBを買ってきたものの、実際の使用可能領域を確認すると7.2GBしかなかった。そう、USBの容量と使用可能領域の間には1割程度の差があるのだった。。

上手くいくように加持祈祷を行い、神記事を参考に作業を進める。

結果的に4GB程度しか消費せず余裕だった。続いてデスクトップの電源を入れ、BIOSを起動する。BIOSの操作にはキーボードが必要。

ノートパソコンから繋いだ左のディスプレイで調べ物をしつつ、右のディスプレイでBIOSを見ているのでいかつい雰囲気。

よくわからないが、インストールメディアが入ったUSBをマザーボードに差し込んで再起動すればよいらしい。BIOSを再起動すると、自動的にWindowsのインストールが始まった。あとは画面の指示に従って進めるだけ。

途中、「ネットワークに接続しよう」の画面が出たが、それをスキップするボタンが無かった。調べてみたところ、Windows11 Homeではインターネット接続とMicrosoftアカウント作成が必須らしい。ふざけているのか?

しかしこれを回避する裏技があった。

これを利用して作業を進める。

OK。無事にWindows11をインストールできた。ここから必要な各種ドライバをインストールしなければならない。しかし現在時刻は20時。実は20時40分から『ゆるキャン△』の映画を見ることになっていたので、今日の作業はここまで。ゆるキャン△しか信じられない。

――そして2日後。今日は2022年7月21日。

まずはインターネットに繋がるPCを使い、マザーボードのドライバを手に入れる。製造元のサイトから製品を探し、載っているドライバをとりあえず全部ダウンロードする。

GPUのドライバもダウンロード。

ダウンロードした各種zipファイルはUSBメモリを使って自作PCへ移し、解凍して適宜セットアップする。その後、スイッチングハブからLANケーブルを伸ばして有線で接続。無事にインターネットに繋がり安心した。動作も早くて快適。

しかし無線LAN、というかWi-Fiに繋がらない。どうやら無線LANに接続するための機器が必要らしい。そうですか。。

一番簡単なのはUSBタイプのアダプタを取り付けることだが、自分の場合はマザーボードPCIスロットが余っているので無線LANカードを購入した。

が、それが届く前に7月が終わろうとしているのでここまで。初めて組むときは経験者の人に見てもらった方が良いと思いました。

その他

Richest Man (Balsam Range)

Balsam Rangeの新曲で、昨年のIBMAのSong of the yearに選ばれた曲らしい。「The fiddle plays Amaging Grace just like a violin」の歌詞が好き。こういう落ち着いた曲をやりたい。

Me and Paul Revere (Steve Martin & Steep Canyon Ranger)

久しぶりにYouTubeで見かけたSteep Canyon Rangerの曲。天才のメロディー。一度バンドでやりたかった。

旅の途中 (清浦夏実)

狼と香辛料』1期のOP曲。マイナー調のサビから間奏で一気に明るくなる感じが好き。最近dアニメストアで本作を見たのだけど、とても面白かった。

BEACON (平沢進)

激しい。。同心円模様はFuji Rock'21のライブ以来でとてもお洒落。

Salt river for get up in the cool

かっこいい女性フィドラーの頂点 Annie Staninec (N=1)。最近あまり動画を見かけない。

アイリッシュ音楽っぽい演奏


こういう感じの演奏を聞きながらサンドイッチとか食べたい。全然関係ないが、もう5年ぐらいサンドイッチを食べた記憶がない。

Sarasate zapateado


何が起きてるんです?

まとめ

全てのコンテンツにありがとう。進捗にさようなら。

『ZCON』感想

平沢進インタラクティブライブ『ZCON』を現地で見てきたので感想をば。

ライブ前

入場の4時間前に国際展示場駅に到着。さすがに早すぎるので会場の近くにある東京ビッグサイトを見に行った。

f:id:nekonoyashiki:20220403031329j:plain

この逆三角形も飽きるほど見てきたが、ここ4年ほどコミケ例大祭に行っていないので足が遠のいている。アニメジャパン2022というイベントが開かれていて興味をそそられたが、気を取り直して東京ガーデンシアターに向かう。

f:id:nekonoyashiki:20220403031347j:plain

ヒラサワだ。ステルス・メジャーがこんな大衆の目に触れるところにいていいのだろうか。と思うのも束の間、会場横のショッピングモールでは平沢進の新譜『BEACON』の曲が延々と流れていた。大丈夫なのかこれは。

『TIMELINEの終わり』や『BEACON』は良い。知らない人が聞いてもそれほど違和感を覚えないと思う。しかし『COLD SONG』や『転倒する男』のような曲をファンでもない一般人に聞かせたら苦情が来てもおかしくない気がするが。。

異世界と化しているショッピングモールを軽く散策し、長椅子に腰掛ける。まだ開場まで3時間半もある。よく考えたらこんなに早く来る必要は全くない。めちゃくちゃ暇なのでうとうとしていたら急に人が増えてきた。いつの間にか僕は1時間以上寝ていたらしい。溢れた人々は終演した 1st-show の観客たちだった。"天候技師"の仕事をサボってしまった。。

すっかり目は覚めたものの、開場はまだまだ先なので ZCON のストーリーを復習しておく。

つまり、どういうことだってばよ。

やがて入場の時間が来たので東京ガーデンシアターの中へ向かう。席数が多すぎてどこがどこだかよくわからなかったが、なんとかとか自分の席を見つけた。後方のけっこう端の席だったものの、ガーデンシアターの客席は縦に大きい構造をしており、ステージ全体を俯瞰できた。調べてみると、実際にそういう意図で設計されているらしい。

ただ、スクリーンは3割ぐらい見切れていたので、たまに横のモニターを見てなんとかしていた。まあそういうこともある。

各曲の感想

1. COLD SONG

CALL!!

拍手でヒラサワを呼ぶ。今まで画面越しに見ていたインタラクティブ・ライブの会場にいるというのはちょっと不思議な感覚である。そしてスモークの後ろから颯爽と現れるヒラサワ。67歳になってもその登場の仕方がカッコいいと思える感性に恐れ入る。そしてすぐに歌が始まった。

―――音圧!!

オケと生歌の音が大きすぎてびっくりした。平沢進のライブの音圧がやばい、というのはちらほら聞いたことがあるけれど、本当に尋常ではなかった。

そしてギターソロ部分はいわゆるデストロイギター。くるっと時計回りに一回転していた。Fuji Rock 2021 の Solid Air でもギターソロ中に回っていたなぁと回顧しつつ、転ばないか心配していた。

2. TRALERATOR

歌の入るタイミングを盛大にミスるヒラサワ。配信で見返すと「あっ……」という感じで明らかにそわそわしているのでちょっとおもしろい。でも歌を止めずに修正するところにプロの気概を感じる。

3. LANDING

この辺りでネット上の"天候技師"の仕事の忙しさがピークを迎えていたと思う。1日目に僕も参加したが、これはかなり面白いシステムだった。

ネット上の"天候技師"、即ち在宅オーディエンスは事前に公開されている Google フォーム上で2択の選択肢から片方を選んで投票することを繰り返す。各選択肢に対する投票の割合はリアルタイムで更新され、一定間隔おきに YouTube 上のライブ配信で確認できる。この投票の割合をツイッターで逐次提示される値に調節してライブを進行させる。

これは自明にめちゃくちゃ大変な作業である。ライブを見つつツイッターで必要な投票の割合を確認し、Google フォームで何度も投票を行う。YouTube 上でその結果を監視するとともに、YouTube のチャット欄でどうやって割合を調整するか議論しているのを眺める。のんきにライブを見ていて調節に失敗すればおそらく BAD END である。つまり、現地にいない人々もライブの過程に直接影響を与える立場にあり、責任重大である。このように、在宅オーディエンスも「ライブに直接参加している聴衆」になれるのは、外出に制限がかかる昨今において素敵なシステムだと思う。

4. 燃える花の隊列

「生存は焚かれている。それは、宇宙総動員による貴方という記憶の喚起によって灯る微かな炎が全ての明かりの源だと認めるときに起こる」

という語りを聞いて「宇宙総動員って何だ?」と思っていたら歌が始まっていた。それにしても相変わらず歌詞のセンスがすごい。例えば2番のAメロ。

夜は狂おしい無いものが咲くほどに
燃え立つような眩しさで
キミは今日咲け 実証に 空想に
水面に輝る月のように

生存を焚け
解錠する必勝する聡明なる暗号なるキミたる灯を

これだけだと意味がわからないが、ライブに参加してなんとなくそのメッセージが感じられた。最後の歌詞に

去った灯去った灯
キミのあるべくあるそれ
ウェルカム ウェルカム

とあるけれど、この『去った灯』『キミのあるべきそれ』というのは忘れ去られてしまった BEACON を指していると思われる。その BEACON の響き、そして自分自身が何者だったのかかを思い出し、本来のヒト科の輝きを取り戻すべきだ、という解釈が自分の中では腑に落ちた。

しかし、同時にその BEACON を思い出すためには、正解だと教え込まれてきた価値基準や社会構造に含まれる詐欺的な要素を破壊しなくてはならない。その過程が『転倒する男』や『消えるTOPIA』で表現されている、気がする。

5. 転倒する男

「アヨカヨが「目標」だと貴方に教えた高みこそ、目標から遠ざかる幻影である。人は完全な姿で生まれ、不完全な姿へと成長させられる。それが『目標』だ」

「転倒してみるがいい。恐怖など無いと知るだろう。貴方が転倒の衝撃を味わう度に思い出すことの結論を、私が今言おう。貴方が途轍もない存在であることを思い出すべきだ」

当初、アヨカヨやアンバニという存在が現実世界の具体的にどういう人々のことを指しているのかわからなかったのだけど、この辺りから徐々に輪郭が掴めてきた感じ。

ところで、「わっはー」って歌詞おもしろすぎませんか。

6. 消えるTOPIA

「貴方を不安にする出来事の変遷に整合性がないことを気付いていますか?Aは突然Bになり、そこに矛盾があろうと説明はされません。それは偽物だからです」

「貴方が誰であるかを忘れさせるために、歴史、道徳、倫理、科学、宗教、あらゆる事件という人工物で貴方を取り囲み、恐怖と不安のみが確実であるかのような世界に貴方を閉じ込めているのです。貴方が『それはない』と宣言する瞬間まで」

イントロ前にバチバチに思想を感じる語りが入っていてふふふとなる。そして、なんとなく以下のツイートを思い出した。

今考えると示唆的だな~と思ったり。

さて、『消えるTOPIA』は 『BEACON』 の中でも特に生で聞いてみたい曲だった。低音中心の不気味で複雑な A メロと B メロ、そこから一瞬で転調して明るいサビへ遷移する構成に中毒性を感じる。どう作曲したらこうなるんだろうか。

歌詞の内容から察するに、この A メロや B メロは ZCON に支配されている世界を、ソロ部分は ZCON の破壊に成功した世界を表しているように思う。

舵は邪気を裂いて切られ雲は無い
過去はたった今 今はたった今 明日はたった今
キミに帰る
ホログラムの塔は燃える熱も無く
過去はたった今 今はたった今 明日はたった今
洗われ降る
夜に夢魔の不在を知り眠れさあ
過去はたった今 今はたった今 明日はたった今
キミに帰る

この「もう大丈夫だよ」と言わんばかりのソロが伸びやかな旋律に乗せられて奏でられるのが心地良くて好き。

7. 幽霊列車

道化師の CV が平沢進というのが衝撃的すぎるんですが。。真顔で出せる声音じゃないと思うので、一体どんな顔でレコーディングしていたんだろうと後で思ったりした。

明確な盛り上がりもなく、かと言って単調でもない絶妙な曲調。でもそういうにっちもさっちもいかないような曲構成も個人的には楽しめるポイントだと思う。2番サビ前に一瞬コーラスのブレイクもどきが入るのいいよね。

8. LEAK

還弦ver の LEAK のイントロ(というか流水音)が流れた瞬間に息を飲んだ。まさか生で聞ける日が来るとは……(2K20▲03 は見られなかったので)。KARKADOR 版も良いけれど、やはり還弦 LEAK の明るい A メロと壮大なサビが好き。始まった瞬間からずっと泣いていた。こういうお土産的な曲をセトリに組み込んでくれるのは本当に嬉しい。

9. 論理的同人の認知的別世界

物語はクライマックスへ

冗談のような夜ですって?

ええ、前夜ですから

で悪い顔をしたのを見逃さなかった。

10. BEACON(中断)

シンプルに心臓に悪い。

11. TIMELINEの終わり

もはやテーマソング。『TOWN-0 PHASE-5』や『庭師KING』、『白虎夜』のような立ち位置の曲だと勝手に思っている。

まずはイントロ。どこかで聞いたことがあるような心地よいメロディーに安心感を覚える。これについて以前の BSP で「国籍不明のアジア風音楽」という形容がされており、見事な物言いだなぁと思った記憶がある。

そして A メロ以降では最近公開された PV と同じ謎ムーブが披露された。あの動きは何を意味しているんでしょう。続くギターソロは CD とは異なり、ロングトーンを繋いでいくシンプルな構成になっていた。ソロの尺が終わった後も単音を伸ばし続ける演出って良いよね。

そして何故かこの曲だけ音を外しがちだった。実は歌いにくいのかもしれない。

でもこれはさすがに TIMELINE の終わりじゃないよね?どう考えても『消えるTOPIA』や『BEACON』の方が難しいもん(N=1)。

12. ASHURA CLOCK

1日目から話題になっていた還弦verアシュラクロック。ナカムラルビィさんのテナーサックスを加えたアレンジの迫力が尋常ではない。「保護者を焼き払え」からの爆音のテナーサックスがかき鳴らされるってちょっとやばい。最近dアニメストアで『響け!ユーフォニアム』を見た影響もあるけれど、金管楽器ってかっこいいですよね。

そしてサビ部分のバカコーラスはコーラスが重なりすぎて全く歌詞が聞き取れなかったのでちょっと笑った。でもこのサビがバカみたいにカッコいい。

13. BEACON

本物のデュンク・アンが成立し、万事 OK と言わんばかりに『BEACON』のイントロへと突き進むルビィの旋律、シトリンの声。HAPPY END へと至れたことも相まって安堵に近いものを感じた。

そしてあまりにも歌が上手すぎる。純粋に歌が上手いって本当に凄いことなんだなと実感させられるほどの完璧さだったと思う。本当に声帯どうなってるんだろう。。

そしてギターソロの最後にトレモロアームで音を下げるアレンジもかっこいい。

14. 記憶のBEACON

前途が来るビーコンの記憶に
前途を行け悠々と

初手から長調全開のバカコーラスの迫力の凄まじさ。前に座っている人がビクッとしていて少し笑った。とはいえ、ギリギリ歌詞が聞き取れるのでバカコーラスというほどのものではないのかもしれない。

「前途が来る」という歌詞はかなり斬新だと思う。「前途」という言葉が主語となり、後ろに動詞が来るような文章を僕は見た記憶がない。通常は「前途多難」や「前途が不安だ」というように使われる言葉だろう。

「前途」というのはつまり「未来」の意であり、この曲においては「BEACON を取り戻したヒト化の輝かしい未来」というような意味合いかと思う。しかし、「未来が来るビーコンの記憶に」という歌詞は明らかにサビのメロディーに合わない。そこで未来を前途と言い換えてしまう言葉選びのセンスに脱帽する(あくまで個人的な見解)。

対照的に、「前途を行け」の方はそれほど不思議な感触はしない。「そのまま突き進んでいけ!」という感じでなんだか心強い。

そして最後にMC。「やあどうも」という感じで左手を上げてからステージの前に立つヒラサワ。「俺の歌を聞いてくれ!」とか「みんな盛り上がってるかー!?」みたいなライブではないので、こういうささやかなファンサも嬉しい。

最初から最後まで楽しいライブだった。

感想

『脱出系亞種音』の BSP において「通常であれば、新譜が発表された後に行われるライブはインタラクティブライブと相場は決まっております」と平沢は話していた。ところが、自分はここ数年で急激に平沢進の音楽を聞きこむようになった人間なので、この発言の意味がよくわからなかった。つまり、普通のライブでもいいじゃんという思いがあった。しかし、今回初めてインタラクティブ・ライブに参加し、その意味の片鱗を掴めた気がした。

少し冷めた物言いをすれば、音楽のライブは普段自分が聞いている曲をミュージシャンが生演奏してくれるだけの場所である。いつも聞いていたメロディーと歌詞、「あのメロディーが好きだった」「この歌詞が刺さる」なんてことを思いながら耳を傾ける。もちろんそれが楽しいのだし、終わった後に「来て良かった~!」としみじみ思いつつ帰路につく。でも、そこで「楽しかったなぁ。また行きたいなぁ」という感想や「あの歌詞は共感できるなぁ」といった感慨以外の何かを得られるかというと、それは微妙だとも思う。受動的に音楽を享受して、それで終わり。何も新しい発見はない。それが当たり前で、そしてそれでもいいと思ってライブ会場へ足を運ぶ。

しかし、インタラクティブ・ライブの場合、オーディエンスは否が応でも"思考"と"判断"を繰り返すことを求められる。登場人物の発言と画面上の文字を注視し、解釈し、自分なりに出した答えをホットポイントで示していく。受け取った情報に対して主体的にレスポンスをしていかなくてはならない。これが普通のライブと決定的に違う部分だと思う。そしてその過程で ZCON の世界観に対する理解が深まると共に、日々の Tw や BSP での発言、そして難解な歌詞に対するイメージも更新されていく感触があった。自分の場合は前者の方が大きくて、「あの意味不明な一連のツイートはこういうことを言っていたのかも」と思わされる場面がいくつもあったように思う。

こういうのは、もうそのまま ZCON の世界観じゃないかと思う。「人は完全な姿で生まれるが、アヨカヨが形成した世界によって徐々に歪められていく。しかし BEACON が鳴り止むことはない。貴方がそれを信じ、そして再び BEACON を発見したならば、この世界で自分を見失わずに生きていける」みたいな。こういう世界観が陰謀論的かと問われると、確かにそういう要素はあると思う。ZCON に限らず、平沢進の表現には conspiracy な要素が多い。

こういうツイートも以前はただのツンデレ面白発言だと思っていたけど、平沢進は本当にそう考えているんだろうなと思うようになった。

また、日々のツイートだけでなく、新譜についても色々と気づきがあった。例えば、『論理的同人の認知的別世界』の「もう大丈夫ですよ、安寧の人」という歌詞を「尖りすぎだろ……」と思いながら以前は聞いていたが、今回のライブに参加して「あ、本当にもう大丈夫なんだな」という前向きなイメージを持つことができた。どういう解釈が正解かはわからないけれど、そうやって多義的に解釈できるところもヒラサワ曲の良いところだと思う。その他にも様々なイメージの刷新があり、『BEACON』というアルバム全体の印象が大きく変わった。そして、そういう点において「新譜が出たらインタラクティブ・ライブをやる」ことが如何に重要であるかが認識できた。

正直なところ平沢進の考えや音楽表現は未だによくわからない。追うべきミュージシャンなのかもわからない。でも、今回『ZCON』に参加して今しばらくは聞き続けてみようと思った。

長々と怪文書を生成してしまったのでこの辺で。次のライブはいつだろう。